【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
その日の帰り、珍しくナツが私を飲みに誘った。初日以来かもしれない。
「寮の子達は大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫!カズに飯は頼んであるし、問題ないだろ」
ナツの適当な返事に苦笑いしてしまいつつ、私は太陽の香りがする外の空気を吸い込んだ。
そして、ちょっとの勇気を振り絞り、私はナツの掌を握る。
ナツは私の行動に驚いたのか、目玉が零れんばかりに瞼を開いて私を見た。
「いいでしょ?ひと夏の間は、私達恋人なんだから。問題ありますか?」
「ありませんね。寧ろ、大歓迎かな」
私が臆することなく言うと、ナツはピアスを揺らしニヤリと笑った。
ねぇ、私は少しは変わることが出来たのかな?勇気を振り絞って変わったナツに、少しは近付けたのかな?