【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
そんなことを思っていると、息つく間もなく、一瞬にして顔が近付き、チュッと小さなリップ音を響かせて、唇が舞い降りた。


「ふふ。いいでしょ?ひと夏の間は、俺達恋人なんだから」


やっぱりナツには敵わない。せっかく驚かそうと思ったのにな。


ナツはむくれた私を見てもう一度満面の笑みを向けると、私が繋いだ手を引いて歩き出した。


私達、きっと今、誰が見ても恋人。


私が少し掌に力を入れると、ナツも答えるように、力を込めた。


手を繋ぐだけでこんなに満たされるなんて、知らなかったよ。


繋いだ手と手から、ナツへの想いが溢れ出して、逆に、ナツの想いも溢れ出てて、それがぐちゃぐちゃに混ざり合っているみたい。
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