【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
ご飯を食べて、お酒を飲んで、他愛もない会話をナツとずっと紡いでいく。


その会話の中に、ふと、ナツが真剣な話を放り込んだ。


「冬花はさ、夏が終わったら就活に戻るんだろ?一体どんな仕事に就くつもり?」


「え?……んー、英語が使えるから、そういう仕事に就ければって殺伐と思ってるけど」


だけど、現実はそう厳しくなくて、正直困ってるんだよね。


就職難だし、同級生も先輩もなかなか職が見つからないでいる。


だからずっと焦ってたし、ホントは今も焦っていなきゃいけないんだと思う。


気持ちか不安になっていく私を、ナツは穏やかな瞳で見ていた。


どうしてか、そんな目で見られると、焦らなくてもいいような気になってしまう。
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