【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
ご飯も食べ終わり、ほろ酔い気分の私達は夜道をふらふらと歩いている。


多分ナツが今日私を誘ったのは、私の将来のことについてちゃんと話がしたかったからだろう。


その話が済んだらすぐに、ナツが頼んだ強いお酒を二人で飲んで、結局このざまだ。


まあ、ふらふらしてるのは私だけで、ナツはそんな私を支えながら歩いてるんだけど。やっぱり酒豪だわ。


「ねえ冬花気づいてた?実は俺と冬花って二人合わせてセイシュンなんだよ」


「はあ?なあーに言ってんの?」


少し呂律の回らない私は、お酒の勢いもあってナツの腕に額をこすりつけた。


すると、ナツは突然立ち止まり、ニッコリ笑う。


その顔は、月と星の光で怪しく光っているようにも見えた。


私には、そんな大人の顔は出来ない。私だってナツに色っぽい笑顔向けてドキドキさせたいのに、こんなの、不公平。
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