【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「私、春井冬花、です。よろしくお願いします」

今まで関わって来なかったタイプなだけに、なんだかすぐには笑顔は向けられない。


「アヤさん、あんたがフユちゃん怖がらせてんスよ。コエーっスもん」


「ハァン?あんたよエセチビ欧米人!生意気小僧!」


二人は私の反応に、なんだか言い合いし始める。


「はいはい。俺も含め皆いかついから。ほら、カレーがコポコポ言ってるぞ。カズ!」


ナツは黒いスキニーを履いたカズのお尻をバシンと叩く。


「イデ!ちょっと手加減無しかよ……ってぐわー!やっべ!アヤさんも手伝ってよ!」


「はいはいもー。しょうがないねぇ」


二人は私から意識を変えて、ナツの言う通りに煮立ってるカレーに向けて走り出した。
< 18 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop