【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「冬花どうする?どっか行きたいとことか、やりたいこととかある?」


「んー……そうだなあ」


最終日だけど普通に働こうと思ってたし、そんなこと考えてもいなかったから、突然言われても困るな。


でも、最後の一日だから……うん。


「最後だから、ナツとゆっくり過ごしたい。特に何かをする一日じゃなくていい」


私の答えに、ナツは極上にキラキラとした笑顔を向ける。


「了解。お姫様のおうせのままに」


まるで絵本や何かの童話みたいな台詞。


そんな歯の浮きそうな台詞の後に、これまた絵本や童話の王子様みたいに体を屈ませ、私の手の甲にキスを落とすナツ。


ホント、何しても板につくなあ。いかつい見た目のくせに。
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