【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「アヤは今年で24歳。デザイン系の学校に通ってんだって。カズは確か高二だったかな。地元の工業高校生」


やっぱり、私の予想通りでアヤは年上、カズは年下だ。


「ここはライブハウスと海の家を兼ねてるんだ。だから海水浴客が来るし、あそこで演奏している奴らもアマチュアだからここでの収入はないけど、日頃の成果を発揮する場所に使ってるってわけ」


ナツが調理する二人の背中を見つめながら私にここのことを説明する。


「それで、私はその、何の仕事をすればいいの?」


私が質問に口を開くと、ナツは差し歯みたいな白い歯をニッと見せて笑った。


「誰でも出来る、簡単なことさ!」


ナツの笑顔は、不思議と私の不安を取り除くみたいな、そんな力を持っているのかもしれない。
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