【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「……はあ!?」
大学も三年目。絶賛就活中の私の夏休みには、青春のせの字もない七月の末。
そんな夏休み、私はチューハイを飲みながらお父さんの一言にア然とする。
「だから、お父さんの知り合いに頼まれたんだけど、冬花、夏の間だけ沖縄に行ってくれ。その知り合いの店、人手が足りないらしいんだ。なー、良いだろ!」
「いやいや、私就活中なんですけど」
大学三年生の夏って言えば、本気で皆が将来を考え始める歳。これからの人生のかかった一大イベントなわけで。
その大事な時期に沖縄だなんて、絶対ありえない。
我が父親ながら、一体何を言っているんだこのオッサンとしか言いようが無いこの状況。