【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「あの二人と一緒に調理と、それから席に運ぶ仕事をして欲しい。やっぱり海水浴客でうちも夏は潤うからなぁ。観光地じゃないとはいえね」


なるほど。理由は分かった。でも、なんでわざわざ、知り合いだからってうちのお父さんに人の手配なんかしたんだろう。


まあ、いっか。その辺は複雑な事情があるかもしれないし。


「今日はまだ慣れてないし、運ぶのは全部カズがやるから心配しないで。な?カズ」


「ゲッ!俺一人っスか!?……ぎゃあ!やるから!睨まないで怖い怖い!」


しかめっつらをしたカズだったけれど、ナツがキッと睨んだため出来上がったカレーとヤキソバを運びに出て行った。


カズは十代の若さがみなぎってる。いかついけれど、親しみやすくて可愛いタイプな気がしてきた。
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