【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
ナツの後ろでは沖縄独自の楽器だったり、よく見るギターだったりが演奏されている。


『胡弓』というナツの持っている楽器も多分沖縄の音楽を奏でるのに大切な楽器なんだと思う。


ロック調にアレンジされているけれど、沖縄の民謡なんだろうな、という雰囲気が伝わる。


「てぃんさぐぬ花って言うんスよこの曲」


いつの間にか、カズが私の隣にやって来て説明し始める。


「ナツさんは沖縄に魅了された男なんス。だからああやって沖縄の民謡とか島唄をアレンジしてたまに歌ったりするんスよねー。これがまた、地元民より上手くて」


カズの説明を聞きながら目を閉じて耳を澄ませば、ナツの歌声から美しい海が連想された。
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