【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−



ライブの部が終わったらしく、お店はオレンジの照明に代わり、観光客で賑わう。


私は裏でアヤと簡単なヤキソバやカレー、オムライスを調理することから始める。


「へぇ。フユって結構手際いいのなぁ。女子力たけーの」


「父さんと二人暮らしで。家事全般私の仕事」


私はアヤが作るのに失敗した牛肉と野菜の炒め物を中華鍋を振って作り直しながら答えた。


「そうか。親父さんとねえ。二人暮らしなのか」


アヤは私の言葉にニッコリ笑いながら返事した。


母親は、何ていう疑問を出すでなく、けれど、気を遣う感じでもない絶妙な声色が耳に心地よい。


やっぱり、アヤは話すとホットする姉御肌なタイプの人だ。良かった。
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