【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
船は、白く、孤独に広がる砂浜へたどり着く。


「うぇ……ふらっふらなんだけど」


「ぶはっ!そりゃそうか。都会っ子だからなあ」


船から降りてきたナツは、裸足になって砂浜に足をつけた。


「あちっ!まぁ、昼間よりマシか?」


私もふらふらする頭を抱えながらナツの後を追うように降りる。


時間だと夕方なのに、まだまだ明るく暑い日差しが照り付ける島。


この世界に、私とナツしかいないみたい。


ムカつくくらい白い砂浜。


ムカつくくらい青い海。


世界が……昨日までとは180度違う。
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