【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−

「おおーい、起きろー」


「ううー……もう飲めないー。内蔵パンパン」


遠くで私を起こす声。お父さんにしては若い、低くはない掠れた若い男の静かな声。


「ふーゆか！このねぼすけ！起きなさいってば！」


「んー？……んあ！？」


その声がしつこいから、仕方なく目を開くと、眼前には小麦色の肌の美青年。


全てを思い出す。そうだ、私、沖縄にほうり込まれたんだっけ。


ここはナツが経営している下宿の一室だ。


クラブだったり下宿だったり、どんだけ建物経営してるんだって話なんだけど。


ナツってばこんな見た目だけど実はどっかの金持ちの息子なの？普通に有り得ないんだけど、なんて思ってしまうわけでして。