【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「おーい姉ちゃん!こっちのビールまだぁ?」
「いっ!今行きます!すぐに!」
涼しげな白いテーブルから聞こえる声に、私は声を張り上げて答える。
やっぱり表立った観光地じゃないとはいえ、穴場スポットの近くだし世間は夏休み。
人数が多いというか、とにかく『Spiel』は朝からバッタバタ。
二日目の今日は私とアヤの女二人が接客。ナツとカズの男二人は調理と分かれている。
向こうもこっちも二人で回すのは精一杯で、人手が足りないというのがよく分かる。
きっつい。連日連夜のお酒と睡眠不足で体が……。
働くことから遠ざかっていたのもあるし、急速に変化した生活環境に、正直言うとついて行けない。