【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
やはり、顔に出てしまったのは良くなかったようだ。


「なんなんだお前!自分が悪いくせに不満な顔しやがって!」


それに腹を立てた男の人が、コップのお茶を私に目掛けてかけて、空のコップを地面に叩きつけたのだ。


あまりの早い展開に、私は動くことも謝ることも、考えることすらも出来なくなる。


ガラスの激しく割れる音と怒鳴り声で、店内にいる人達の視線が集まる。


「どうなんだ!?お前、反省してるのか!?え?」


怒鳴られているのと割れたガラスの破片が手に当たって、左の小指がズキズキ痛むのとで更に固まる私。


謝れ、謝るんだ私。ようやく無理矢理動かした脳みそからそうやって命令しても、体は何も反応しない。


そんな私の元へ、オレンジの照明でピアスがキラキラと瞬くナツがやって来た。
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