【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「お客様どうなさいましたか?」


穏やかなナツだけど、なんだか横顔が妙に威圧的だ。こんなナツ、初めて。


「どうもなにもあるか!ここの店員の教育はどうなってるんだ!」


「申し訳ございません。私の教育不足です。今日のお勘定は結構ですので、どうかお許しいただけないでしょうか?」


怒る客に頭を下げるナツに、申し訳ない気持ちと同時に、少し落胆してしまう。


確かに私の対応は悪かったかもしれないけど、私はケガさせられてるし、コップも粉々。周りのお客さんの気分も悪くさせたのに。


大人のこういう姿を見ると、悲しくなる。社会の仕組みが嫌になる。そういうしがらみはナツに必要無いのにって勝手な思いばかりが、膨らむ。
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