【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
調理場ではカズが一人でわたわたとしていた。ナツまで表に出ちゃって事情を知らないカズには、ホントに申し訳ない。
そんのわたわたしたカズが不意に振り返ると、ぎょっとして私の左手を見た。
多分、私のケガのせい。ケガのわりに、かなり出血が酷いから右手を受け皿にしているくらいだし。
「カズ、調理続けて。お客さんいるんだから」
「あ……ハイ。すんません」
カズは私を気にしながら再び調理に戻った。事情が見えないだろうし、可哀想でならない。
「冬花、ここに座って」
ナツはどこからか引っ張り出したお酒の入っていた木箱に私を座らせると、左腕を引っ張り出し、その傷口に市販の消毒駅をざっとかけた。
「いっ……!」
「いい子だから我慢。ね?」
まるで子供をあやすような口調のナツは、優しい顔で治療を続けた。
そんのわたわたしたカズが不意に振り返ると、ぎょっとして私の左手を見た。
多分、私のケガのせい。ケガのわりに、かなり出血が酷いから右手を受け皿にしているくらいだし。
「カズ、調理続けて。お客さんいるんだから」
「あ……ハイ。すんません」
カズは私を気にしながら再び調理に戻った。事情が見えないだろうし、可哀想でならない。
「冬花、ここに座って」
ナツはどこからか引っ張り出したお酒の入っていた木箱に私を座らせると、左腕を引っ張り出し、その傷口に市販の消毒駅をざっとかけた。
「いっ……!」
「いい子だから我慢。ね?」
まるで子供をあやすような口調のナツは、優しい顔で治療を続けた。