【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「ナツさんはねぇ……"調子に乗るな!俺のモノを傷付けたお前を、俺は許さない!"って怒ったんだよ」


アヤは言葉を言い終わると更にニンマリ笑う。なんて楽しそうな顔


「じゃあね。また明日」


颯爽と立ち去るアヤの後ろ姿に私は呆然と立ち尽くす。言葉通り、動けない。


と同時に、頭のてっぺんからつま先までカーッと熱くなってくるような感覚が襲う。


だって、だってだって。


ナツ……『俺のモノ』って、それじゃあまるで私、ナツの彼女みたいじゃん。


私は自分でそう思うと、全身がもっと熱くなった。


もう、馬鹿な私。ナツのお店の従業員なんだから、きっとそれだけの意味しかないのに。


こみ上げる、沖縄の太陽よりも熱い何かを止められない。
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