【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
寮に帰り、晩御飯をいただいた後は即行で部屋へ駆け込む。
ヤバイ……ナツと目が合わせられないんだけど。どうしよう、どうすんの、どうしてたっけ。
「馬鹿だなぁもう。……ホント、馬鹿だ私」
自分がこんなに惚れっぽいなんて知らなかった。
部屋のベッドの上で枕に顔を埋めて私は足をばたつかせる。
そうしていると、部屋のドアがノックされ、返事をする間もなくドアが開いた。
「なーにしてんスかフユちゃん。下でナツさんが呼んでますよ?」
「いっ!?わ、分かった。すぐ行きます」
カズに返事もないのに勝手に開けられた怒りも、『ナツ』という単語で吹っ飛ぶ。
勢いよく起き上がった私は、不自然に固まった足でロボットのような動作で立ち上がった。