【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−



外は一面真っ黄色の世界。


夕方の橙色とも違う、なんだか不思議な色合いだ。


「あー、これ、一雨来そうだね。急ごうか。走れる?」


ナツはその一面に広がる黄色を見て、クンクン、と匂いを嗅ぐと私を見る。


私も真似てクンクン、と匂いを嗅いだけれど、雨の降りそうな匂いはしない。


ナツは真似た私をクスクスと笑うと私の腕を取りに走り出す。


ナツに握られたところから熱を帯び、ナツの少しかいた手汗が、私とナツが熱を共有していることを証明しているようでなんだか緊張した。


何これ。人と手を繋ぐと、こんなに熱を共有しちゃうもの?


ナツの体温とか、硬い掌とか、もう、全部繋がれた手が過敏になっていちいち感知してる。
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