【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
そんな緊張を長く味わう間もなくコンビニへ到着し、ナツと私は大量のお酒をカゴに入れる。


ナツは夜中、毎晩のように近所の人達と飲んでいる。だからすぐお酒が無くなるんだ。


私がここに来て初日もそうだったけど、とにかく宴会が好きみたい。


「っていうか、荷物持ちなら、私じゃなくてカズでもいーじゃん」


「いーや。俺は冬花に頼みたかったの」


ナツはそう言ってニカッと笑うと会計を済ます。


四つに分けられた袋を二つずつ持ち、コンビニの外に出ると、黄色い世界に激しい雨。


ナツの言う通り、夕立がやって来た。


凄いな、外の色と匂いだけで、ナツは夕立ちが来ることが分かる。


もう一度すんすんと匂いを嗅ぐと、鼻いっぱいに雨の匂いが詰まった。
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