【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
始めのうちは走れるくらいの雨だったけど、そのうちにそれはもっと激しくなり、更には雷が鳴り始める。


仕方がないので、私とナツは寮まで戻るのを諦め、バス停のボロイ屋根の下に一旦避難。


「女心と秋の空なんて例えがあるけど、夏の空だって女心と同じくらい難しいっての」


ナツはぶつくさと文句を言いながらノースリーブの腹部の水気をぎゅっと搾る。


ちらりと覗くナツの割れて日焼けした小麦色の肌。


それが色っぽくて思わず見とれてしまっていると、私の視線に気付いたのかナツがこちらを向いた。


ふわ、と細められた目と、雨と光に反射してキラリと輝く顔面のピアス達。


また、そうやって私をいちいちドキドキさせるんだ、ナツは。
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