【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
唇が離れると、ナツはただニッコリと笑った。
その優しい顔と、それに見合わないくらい大量のピアスがやけに切なくて。
どうしても想いが溢れて止まらなくて、初めて、私からナツに歩み寄り、ぎゅっと抱き着いた。
それは色っぽい恋人みたいな抱き着き方なんかじゃなくて、まるで父親に抱き着く子供のようだと思う。
ナツはそんな私を、そっと優しく包み込んでくれた。
ナツにとって私はどんな存在なんだろう。
なんでナツは私とひと夏限定の恋人をしようって言ったんだろう。
全部知りたいのに。ナツの思うこと、全部全部、満足するまで知りたい。
だけど、時間が足りない。足りないよ。
疑問は、青から橙に染まるその彼方へ飛んでは消え、飛んでは消え、波にゆらゆらと、ただ揺れる。
その優しい顔と、それに見合わないくらい大量のピアスがやけに切なくて。
どうしても想いが溢れて止まらなくて、初めて、私からナツに歩み寄り、ぎゅっと抱き着いた。
それは色っぽい恋人みたいな抱き着き方なんかじゃなくて、まるで父親に抱き着く子供のようだと思う。
ナツはそんな私を、そっと優しく包み込んでくれた。
ナツにとって私はどんな存在なんだろう。
なんでナツは私とひと夏限定の恋人をしようって言ったんだろう。
全部知りたいのに。ナツの思うこと、全部全部、満足するまで知りたい。
だけど、時間が足りない。足りないよ。
疑問は、青から橙に染まるその彼方へ飛んでは消え、飛んでは消え、波にゆらゆらと、ただ揺れる。