【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
《そっか、分かった。迎えに行く。今いるところに何かわかりやすいものがあったりしないかな?》


あ……迎えに来てくれるんだ。ラッキー。優しい人だ。


頭の中でぼんやりと思いながら相手に近くの建物の特徴を伝えると、一旦通話を切った。


「はーっ暑い。ナニコレ」


呟いた矢先、顎を伝う汗がアスファルトに落ちて、気持ち的にもっと暑くなって来る。


沖縄の夏だもんね。そりゃ暑いか。当たり前のことなんだよな。


私は辺りを見渡して、近くにあったバス停の古びた屋根の下に入った。


日が直接当たらない分、少しだけマシな気がするけど汗は簡単には引かない。


あのクソ親父め。せめてタオルくらい手渡せってんだ、なんて、お父さんに心の中で悪態をつきながら暇を持て余す。
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