【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−
「まあ言いたくないなら関係についてはつっこまないけど、キスはしたんだろ?ん?」


アヤは一体どこを気にしてるんだ。キスしてようがしてまいが、普通そこまで気にしなくない?


「何?アヤってナツのこと好きなの?」


「ばっ……!違うわ!誰があんな酒豪のオッサン……いや、今のは聞かなかったことにして。ガチで凹みそう」


アヤは自分の言葉をさっさと揉み消すと、店員に泡盛を注目する。


「きっと傷付くだろうなーナツ。まだ二十代なのにって。意外とガラスのハートだから」


「なんだよ。四捨五入すりゃ三十路だろ?どんなにかっこよくてもオッサンだよ。カズと並べたら肌の劣化なんてすぐ見える」


アヤは開き直ったようにケラケラ笑い、ナツが聞いたら悲しみそうな言葉を連発した。
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