【完】“微熱”−ひと夏限定のセイシュン−

私はレモンサワーを再び口入れてから、アヤに小さな仕返しをしようと考る。


攻撃されっぱなしだなんて、絶対に嫌だしこのままになんてしてあげない。


「ねえアヤは恋人とかいないの？」


考えてもあれだし、単刀直入にアヤに尋ねる。


「いないよ。まあ、好きな奴くらいはいるけど。大人だからな」


私の質問に、アヤは動揺することなく答える。流石、自分で言う通り大人。


「どんな人？」


「んー……そうだなぁ、馬鹿で、チビでひょろっこい男かな。頼りないし、色白けど……笑顔がさ、キラキラした奴なんだよね」


姐御のアヤも、好きな人の話をすると、乙女になるんだ。


いつもはキリッとした顔をしているのに、その話を始めた途端、顔がとろんと乙女の顔になる。


っていうか、なんか、アヤの話聞いてて……一人、思い浮かぶんだけど。