Dear.
恋の始まり
高校二年生の夏休み。
もちろん丸々休みというわけではなく、補習という名の授業が始まった。
「補習あったら休みじゃないじゃん」
「夏休みって名前だけよねー」
始業のチャイムが鳴り、みんなグチグチ言いながら席に着いた。いつも通りの登校、いつも通りの授業。ただ一つ違うのは、午前中で帰れるってこと。
さすがに先生達も鬼じゃないからね。
うるさいほどに響く蝉の声。暑い教室に時折ふわっと風が吹き抜けた。
「俺と付き合わない?」
――あの日から今日でちょうど三日。
返事は三日以内って言われたけど、結局何もしないまま。
からかってるだけ。どうせもう会うことなんてないだろうし。
そう思ってた。