想い、果てるまで
「はっ!熊五郎が!」
まさか地元の祭の射的屋さんでその姿を拝むことができるとは!
「あれ狙うのか?」
「駄目、私には熊五郎に銃口を向けるなんて事出来ない…っ!」
「……お前、前にUFOキャッチャーした時、首に引っ掛けて取ってたじゃん」
……ふっ。
私過去は振り返らない女なので。
……と、いうことで、
「紫波、あれ取って」
語尾にハートを付けてみたんだけど、我ながらに気持ち悪い。
「えー……。お前、前は自分で手に入れてこその…みたいな事言ってなかったっけ?」
「あの頃は私も若かったのよ…。それに、もし取れたら綿飴買ってあげる!」
私の口から『綿飴』という単語が発せられた瞬間、紫波はピクリと反応した。
「……………取る」
………綿飴、好きなんだなあ。