想い、果てるまで
2人は互いに目と目を見つめ合ったまま動かない。
時を刻む時計の針の音だけが、鮮明に耳に残る。
「………お前は、そう思ってんのか…?俺を他の奴と同じだと思ってんのか?」
中条のその言葉に紫波はハッと冷静になる。
そして、ゆっくりと中条のそれを掴んでいる手を離した。
「……ごめん。…違う…」
紫波は、力無くすとんと座っていた椅子に座る。
「……斎藤さんは、俺とは違うぞ」
どこか思い当たる節があるのか、中条からその言葉が吐き出された瞬間、紫波は核心を突かれたような表情を見せた。
「……違う。だから好きになったんじゃない。普通に好きになったんだ」
「恋もしたことが無かったのに?」
中条の重い言葉に、紫波は出かけてた言葉を喉の奥へと呑み込む。