想い、果てるまで



「それでも紫波が彼女を本当に好きならば、俺は紫波を応援するよ」



「………」





「………ただ」



そこまで言いかけて、ガタンと席を立つ中条。



そして、今度は中条が紫波の胸倉を掴み、勢い良く窓へと打ちつけた。



顔を数センチ先へと近づけ、互いの視線がぶつかり合う。





「………ただ、もう少し周りをよく見ろ。自分を余り可愛がるな」



そこまで言うとパッと手を放し、紫波は椅子へとずり落ちる。



そして荷物を持ち、紫波に背を向け入り口へと歩き出す。



扉から出ようとしたとき、一度だけ紫波の方を振り向き、微かに聞こえるぐらいの声を呟いた。







「………あまり他人を、傷つけるな……」










その後、中条は紫波を残したまま教室を後にした。










< 155 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop