想い、果てるまで
「それでも紫波が彼女を本当に好きならば、俺は紫波を応援するよ」
「………」
「………ただ」
そこまで言いかけて、ガタンと席を立つ中条。
そして、今度は中条が紫波の胸倉を掴み、勢い良く窓へと打ちつけた。
顔を数センチ先へと近づけ、互いの視線がぶつかり合う。
「………ただ、もう少し周りをよく見ろ。自分を余り可愛がるな」
そこまで言うとパッと手を放し、紫波は椅子へとずり落ちる。
そして荷物を持ち、紫波に背を向け入り口へと歩き出す。
扉から出ようとしたとき、一度だけ紫波の方を振り向き、微かに聞こえるぐらいの声を呟いた。
「………あまり他人を、傷つけるな……」
その後、中条は紫波を残したまま教室を後にした。