想い、果てるまで





私は紫波の腕を取った。



誰もいないその渡り廊下に、重い空気が流れる。


私は何を言っていいのか分からず、また、紫波もその手を振り払おうとしない。







「………お前…知ってたのか…」



今まで聞いたことのない様な暗い声が紫波から発せられる。



「………知ってたわ」



もう素直に答えるしかないと思い、正直な言葉を述べる。



すると、紫波が乱暴に腕を払い、こちらを振り向いた。





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