想い、果てるまで



「あ、はっぴーにゅういやー、壽吏!!」



「--ッ!?」



未だに状況が飲み込めず、口をパクパクさせてしまう私。


紫波はというと、いつもの子供っぽい満面の笑みを浮かべている。















「---ッ!!帰れーーーーー!!」





私は無理矢理紫波の体を玄関の外に放り投げ、すぐさま鍵をかけた。


そして、ドアを背に玄関の床にペタリと座り込む。





--何なの?何なの何なの何なの!?





何で紫波が私に、……キ、キスを…?





まだ胸がバクバク言っている。


顔が火照る。





あいつは私に一体どうして欲しいの?



折角忘れようとしたのに、こんなことされたら無理に決まってるじゃない。





私は自分の唇にそっと触れてみる。



………まださっきの感触が残ってる。





--…私、ファーストキスだったのに……










「………紫波の馬鹿……っ!」










< 273 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop