想い、果てるまで







……新井さん。俺の我が儘、聞いてくれる…?」



「……うん」



私の返事を合図に中条はゆっくりと立ち上がり、こちらに歩み寄る。





……そして、私を包み込むように、ゆっくり、抱き締める。





「……今まで通りとは言わない…。ただ、避けないで。普通の友達として、たまには話してくれ」


私を抱き締める力が徐々に強くなる。


私も、中条の肩に顔を埋め、きつく背中を抱き返す。


この温もりは、もう二度と味わえないだろう。

今のうち、今だけは永遠に続いて欲しい。



「……まだ、私は中条と仲良くしてもいいの?特別な友達として、隣で笑ってもいいの?」


「ああ……」



目を瞑れば、あなたの笑顔が脳裏に浮かぶ。


無駄じゃなかった。

私とあなたの時間に無駄なんて無かった。


私の中での中条に対する感情に、確かに変化があった。


少しも揺るがなかったと言えば、それは嘘になるだろう。



それでも私は紫波を選んだ。





「ありがとう…」



ううん、それは私の台詞。





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