想い、果てるまで
「……正義のヒーロー!?」
「うん!」
満面の笑みの明君から飛び出た言葉は、あまりにも子供らしいものだった。
「どんなのが一番格好良いかな~って考えてみたんだけど、やっぱ最終的にはそれに行き着いちゃって」
「へ…ぇー…」
なんだかややこしい事になっていきそうです。
さっき軽い気持ちで返事をした自分をしばき倒したいです。
だって何を言い出すかと思えば…。
「でね、登場シーンの時に協力してもらいたいんだけど…。あ!因みに正義のヒーローが悪役からお姫様を攫うところを再現したいんだけど、ヒーローは勿論俺で、悪役が翼でお姫様が壽吏。……って壽吏がお姫様って無いな…。気持ち悪い…」
「明君」
「ん?」
「告白…するんだよね?」
「ん」
……えっと、
この場合は私が間違ってるのかな。
「でもタイミングを見計らってやらないと、だから色々斎藤さんに手伝って欲しいんだけど」
「…何をすればいいの?」
もうされるがままです。
「翼が告白する詳しい日にちと時間を聞き出してて欲しいんだ。あと、本番でもちょちょっと手伝ってくれると有り難い」
…凄い面倒だ…
けど、私に二言はないんだよね!
何より壽吏の為だし。
「うん、分かった!」
「あ、因みに因みに」
……
「決め台詞もあるんだけどね………」