想い、果てるまで








………は?



唇に感触を作ることなく、体を無理矢理押し返される。

それは紫波も同じだったようで、目をぱちくりさせている。

で、その私達の間から出てきた張本人はというと、



「--翼!?」



「ふ~…、間に合ったー…」


片手を腰に添え、もう片方の手で額の汗を拭う仕草を知る翼君。

ぶっちゃけ紫波の登場の仕方よりも驚いた。


だがしかし、驚きはそれだけに留まることはなく…、





「あ゛ーーー!!何やってんの翼君!!折角良いところだったのにーー!!」


近くの茂みからいきなり飛び出てきたのは斎藤真那加さん。

傍らには、インスタントカメラのレンズ越しにこちらを眺めている堀内先輩が。



「…何やってんの…?真那加…」


「あ、どうぞ私達にはお構いなく」



……いや、できるわけ無いでしょ…。



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