想い、果てるまで


「祝勝会は出来ないから、えーっと……。一本締め?」



取り敢えず、涙の一粒でも流したらどうなのか。



「あ、俺今日用事があるから早く帰んなきゃ行けなかったんだ」


そう言って、何もない腕で時間を確かめるフリをする団長。


そんな団長の隣では、「照れ隠しね」と榎木先輩が笑っている。



「まーそう言うことで、もう解散ということになるんですけども……」


団長はそこまで言い掛けて、一度頭をポリポリと掻く。



そして、瞼を開けたときには、真剣そのものの表情になっていた。





「……有り難う。お前等のお陰で最高の思い出が出来た」



今までと全然違う芯のしっかりしている声は、私達に緊張感を与えてくれる。



「来年はお前たちの番だが、あれだ、俺みたいのを目指すなよ?」



なんか、卒業式みたいな感じだ。

ニヤニヤしてしまう。



「要するに、その、………有り難う。有り難うな。……ありがとう!!」





そして、団長の深い礼で、今年の体育祭は幕を閉じた。










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