想い、果てるまで



入学式が無事終わり、各々が各々の教室へと帰って行った。



そして、HRが始まる。



担任はなかなかの美人だ。


しかし、気が強そうで自分に絶対の自信を持っているタイプと見た。



これは早く取り入れないと厄介だな……。




とまあそこは問題無いとして、問題なのは、





隣の席があいつだということだ。





『新井』と『紫波』が巧いように組み合わさって、見事な配置となっている。


席自体は、廊下側の窓際というまずまずのポジションだというのに…。



早く席替えしないかなー………。





と鬱々としている間にも、担任の話が終わっていた。



そして、次はいよいよ恒例の自己紹介だ。



ここが私にとっての関門。


……みんな珍しがらるだろうな。


名字は普通なのに、名前のインパクトが半端無い。


名前負けしてんだよな…。



だがしかしこれを越えさえすれば…っ!


と考え込んでいる内に、自分の順番が回ってきた。




「……新井…壽吏です」


名前を言った途端に皆さんが前後の席でコソコソ話をし始める。



――ほら。やっぱりそういう反応を取る。



「……で、趣味は読書です。宜しく御願いします」





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