想い、果てるまで
よし!
新井壽吏16歳。
男になります!
「行こっ!紫波!」
「あ、うん。ほい」
紫波はそう言って、再び私に手を差し出して来た。
「………さっきから思ってたんだけど、何それ?」
お金でも取る気?
私生憎今日はそんなに持ってきてないし。
「お前歩きにくいんだろ?だから手ぇ貸せ」
………え?
「っていうか、それ俺に言わせるなよ!空気読め!」
「あ、ごめ……」
私が最後まで言い終わらないうちに、紫波は無理矢理私の手を取った。
そして、二人で歩き出す。
………なんか、調子狂わせられるな……。
逆に頭が冷めたよ。
私はゆっくりと紫波の手を握り締める。
すると、紫波の方も握り返してくれる。
それだけで、私の心は十分に満たされるんだ。