【僕らの撃退大作戦】
声を大きくしたタカヤよりも早く、ユリカに向かって、年配男性らしき者の声が、何かを言ってるのがタカヤに聞こえてきた。
声から察するに、どうやらユリカの呟きを次長が聞き咎めたらしい。
『えっ、目標?
そんなこと私に言われても──
帰って来てるんだから自分で訊いて下さい!
次長、それよりこれ他行為替お願いします!!
──もしもし、タカヤさん?』
「あ、ああ」
──この時間のユリカさんは気がたってるからなぁ……
目標という言葉にドキリとしながら、上司にすら噛み付ついたユリカの気の強さに、ブルッと体が震えた。
ユリカの迫力に呑まれ、言いたかった言葉を逃す。
引けた腰で返事をしたタカヤに、『じゃ犯人役お願いしますね!』と言ったユリカは、そのまま電話を切ってしまった。