【僕らの撃退大作戦】
作戦会議
失態
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一方タカヤは、顔に出さぬまでも、たいへんに困惑していた。
ATM室にて声を掛けたあの男性に、である。
タカヤは男性を、ロビーから見て営業室の後方、つまりは職員出入り口の扉前に置かれたテーブルへと通していた。
ちなみにそこは金庫室の斜め前になっている。
通常は、ロビーの自動ドアから奥まった場所にある、椅子に座って応対するローカウンターへとお通しする。
しかしこの男性は、用件を言わなかったので、
もしかしたら人に聞かれたくない話なのかもしれないとタカヤは思ったのだ。
融資関係の話だと、なかなか話を切り出せない人もいるし、
今日のようにロビーに人がいるだけでも、話が聞こえてしまうのではと嫌がる人もいる。
だからここへ通したのだが、男は落ち着きなく時折足を揺するくらいで、用件を話す素振りをみせない。
タカヤが用件をきいても要領を得ず、
名前をきいても、もごもごと口を濁す。
溜め息が出そうだ。