【僕らの撃退大作戦】
重いカバンに重い足取り、重い表情。
地球の重力に抗わずに寝そべりたくなるような、陰鬱な雰囲気を醸し出しながら、タカヤは支店内に入るドアの暗証キーを押した。
──ピーッ
まるで押した人間を小馬鹿にするような音を響かせ、電子音が鳴る。
拒否を示すその音に、タカヤは眉をひそめた。
もう一度同じ番号を押しかけて、今日が店内防犯訓練の日だったことを思い出す。
この銀行では月に一度、全店防犯の日が定められており、防犯に対する意識を保つようにしている。
簡易的な防犯訓練をしたり、暗証番号が必要とされるドア等の番号を全て変更する日だ。
そしてそれが今日。
腕時計を見ると、3時になってまだそんなには経っていない。
3時7分というところ。
「タジマ次長、変更すんの早過ぎだよ……」
これでは、ほぼ4時過ぎに戻ることが多い営業係は誰一人入れないではないか、と思ったのち、タカヤは重要なことを思い出した。