濡れた体温ごと奪って
「紗耶…ごめんな…ごめん…」
翔ちゃんはリビングに入るとソファーに座り俯き加減で何度も謝る。
私はぶんぶんと何度も首を左右に振って大丈夫だと答えた。
翔ちゃん…私の代わりに言ってくれたんだもん…翔ちゃんは謝る事なんてない。
私の過去を引き出してしまった事…そして…お母さんも私も傷つけてしまったと…自分を責めてるんだよね…?
私は傷ついてなんてないよ。
気が付くとソファーに座っている翔ちゃんの背中をぎゅっと抱きしめていた…。