濡れた体温ごと奪って
「…翔ちゃん…ありがとう」
翔ちゃんからは何の返事も返って来ない中、私は力いっぱいぎゅっと抱きしめていた。
「翔ちゃんが言ってくれなきゃ…私、また…同じ事なってたかもしれないし…それにね…」
「……………」
「…私、スッキリしたから…お母さん泣いてたけど…私はスッキリしたんだ」
お世辞じゃないよ本当なんだ。
翔ちゃんが言ってくれなかったら…私、ずっと隠し通さなきゃいけなかったんだから…。
本当にスッキリしたんだよ。