濡れた体温ごと奪って
第六章 危ない同棲の予感
【翔ちゃんの実家へ行く当日】
私は今真っ黒な左ハンドルの車の助手席に乗ってる。
真っ黒な外車ってどういう事?
翔ちゃん…お金持ちなの?
「どうした?」
「…ううん。ただ…左ハンドルに…慣れてなくて…」
「フッ。なんだそれ」
「翔ちゃん…お金持ちなの?」
「まあ…給料は少なくはねぇな。命懸けてんのに安月給じゃやってられねえよ」
くわえ煙草をしながら、小さく笑う翔ちゃん。
私今…翔ちゃんと二人っきりで…しかも助手席に乗ってるんだよね。
夢を見てるみたい。