濡れた体温ごと奪って


「お前…誰だ?」


「……え…」




ドクンと私の鼓動が大きく脈打つと共に、血の気が引いて行く様な…そんな感覚に襲われる。


翔ちゃん…私の事覚えてない。


六年前まで小さい頃からずっとほとんど毎日一緒に過ごしてたのに…。


私の事忘れた…?




「用がないならドア閉めるぞ。じゃーな」




パタンと小さく音を立てて閉まってしまったドアを、ただただ立ち尽くしたまま見ている事しか出来ずにいた。



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