濡れた体温ごと奪って
ドアを開き中へ入った瞬間、不意に腕を捕まれ視界がぐらつき、誰かに抱きしめられた。
ちょっと…待って……これは…この感覚…温もりは…翔ちゃん…?
力強いけど、どこか優しく包み込む様な抱きしめ方は…翔ちゃんしかいないもん。
「紗耶。会いたかった」
「…翔ちゃん……私も…会いたくて…たまらなかったよ…ずっと…ずっと…会いたくて…」
「ああ。知ってる」
翔ちゃんは力強く私を抱きしめたまま、頭を優しく撫でてくれた。