濡れた体温ごと奪って
空港では少し翔ちゃんと話したのち、翔ちゃんはゲートへと向かった。
「あ、待ってっ」
「どうした?」
「ねぇ翔ちゃん。私ね…」
行き交う人の中、私は背伸びをして背の高い翔ちゃんの耳元へなるべく口を近付けて囁く。
『私のファーストキスは…他の誰でもなく、翔ちゃんだからね』
本当なんだよ。
キスは私、した事ないんだ。
翔ちゃんが初めてなんだよ。
翔ちゃんはフッと小さく鼻で笑うと、私の腰に腕を回し引き寄せられた。