濡れた体温ごと奪って
「…わ、私帰るねっ。お風呂貸してくれてありがとう」
自然と会話が途切れ静かな部屋に気まずい雰囲気が漂う中、紗耶は立ち上がり玄関へと向かおうとした。
「…待て」
俺は咄嗟に手を伸ばし紗耶の手首をぐっと掴み行くてを阻んだ。
「…な…なに?」
「…今は本当に…何もねぇんだな?」
「うん。何もないよ」
「…そうか」
「…じゃあね」
紗耶の目を見た感じでは、嘘はついてねぇみたいだな。
つか…誰だ。
…紗耶を傷つけた男。
…ぶっ飛ばしてやりてぇ。