素直に優しく―360日の奇跡―



掛け合いを続けるメグとゲームが上手い男を見て、自然に笑った私はたぶんすごい人間臭かったと思う。




「名前、何?」


「慎之介。シン様って呼んで良いよ!」


「呼ばないし!ヨリ、シンで良いからね?もしくはバカ。」




調子に乗るな!ってシンの頭を本気で叩くメグにまた笑った。




「痛ぇし!バカはお前だろ。バーカ!」


「バカって言う方がバカなんですー!」




まるで子供の喧嘩。

メグとシンみたいに言いたい事言える関係がちょっと羨ましかった。
私にはそんな相手はいないから…。




「ヨリ!メグのがバカだよな?」


「ヨリー!シンのがバカだよね!?」


「………どっちもどっち。」




ヤバい、そう思った。
今までぎゃーぎゃー騒いでた二人が黙って周りの音しか聞こえない。

いつもみたいに素っ気なく返してしまう自分が嫌だった。




「ヨリ…クールだなー。」


「そこが良いんじゃない?」


「メグと正反対。」


「うるさいわ!」




私の素っ気ない態度を気にしないでそこが良いと言ってくれる。

本当にこんな人間は初めてだった。





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