素直に優しく―360日の奇跡―
「んじゃ、ナンパ成功を祝してシン様がジュースを奢って差し上げよう!」
「マジ?メグねー…」
「はい、お前は自腹。ヨリ限定だから。」
人込みから抜け出してゲームセンターの外に出る。
もう4月なのにまだ所々に雪が残っていて正直めちゃくちゃ寒い。
その外でまたぎゃーぎゃー騒ぎ出す二人に呆れてしまう。
「……寒くないわけ?」
「「寒い!」」
「店、入る?」
会話は苦手。
自我をだすのも苦手。
でもちょっと頑張って言葉にした。
自分の変化に戸惑いはあるけど、嫌じゃない。
むしろ心地よかった。
「だな。メグは置いといて俺とヨリは風邪引くよな。」
「は?メグだって引くし。」
「いや、お前はバカだから引かない。」
ゲームセンターの横にある大型スーパーに向かう道でも騒ぐ二人。
私はそれを聞きながら雪で滑らないように足元を見ながら歩いた。